論文表題
日本の森林吸収源対策のロジックの整理 —ネットゼロエミッションの達成に必要な森林吸収源の評価に向けて—
掲載誌
森林総合研究所研究報告 24 巻 3 号 p. 177-192
リンク先
https://doi.org/10.20756/ffpri.24.3_177
著者
- 江原 誠
- 古川 拓哉
- 藤間 剛
- 平田 晶子
- 酒井 寿夫
- 北原 文章
- 森井 拓哉
- 石塚 成宏
- 柳田 高志
- 橋本 昌司
- 津山 幾太郎
- 久保山 裕史
- 松井 哲哉
- 小南 裕志
概要
国連気候変動枠組条約のパリ協定の下、日本は2050年までにCO2排出ネット・ゼロ (カーボンニュートラル) を目指している。本研究は、この目標達成に向けた日本政府の森林吸収源対策の政策根拠や論理の課題を明らかにし、対策を提示することを目的とした。ロジックモデルを用いて、地球温暖化対策計画、農林水産省地球温暖化対策計画、森林・林業基本計画の施策間の因果関係・相互関係を整理した。地球温暖化対策計画では、2030年度の森林吸収量目標 (約3,120万t-CO2) と伐採木材製品 (HWP) による炭素貯留効果の目標 (約680万t-CO2) を近位アウトカムとして設定し、一部の施策の進捗状況が政策評価で追跡されていた。森林・林業基本計画では、目標達成のためのロジックが多層的で、具体的な施策の関連性が明確であるが、近位アウトカム達成に向けたロジック間の相互関係や「指向する森林の状態」との関係性が不明確だった。また、森林・林業基本計画の下位計画である国有林と民有林の158計画書から直近5年間の主伐、間伐、再造林の計画量の未達成度が高かった上位1割を抽出し、これらの実績に対する評価についての書きぶりを整理したところ、未達成の理由が不明確なケースが多く、要因として、状況変化を見通せない目標設定の在り方や市町村の人員・専門性の不足が考えられた。最後に、これらの課題に対処する方策を提示した。